山口地方裁判所萩支部 昭和38年(ワ)42号・昭38年(ワ)40号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕((証拠))の文言を検討してみると、<被告は>右引受日現在訴外会社が原告に対し負担している金銭債務を坂本信一の計算により算出した限度で、支払期限一年の猶予のもとに引受け、支払を約したものというべきである。
さて右引受限度額として、よるべき訴外坂本の計算は甲第八号証の一乃至五「計算書」によれば金二五一、三五九円であり、また少くとも当時、その限度での金銭債務を決済の結果訴外会社が原告に対して負担していたことも認められるので、右引受契約は右金額の限度で一年の期限を以て被告独自に負担すべきものとして有効に成立したものというべきである。((中略))
右認定による被告の債務引受は原債務とならんではあるが、それとは別個の履行の内容をふくむ債務負担を約した新たな原因に基ずく債務発生とみるべきであるから、その消滅時効とその進行も原債務のそれの如何にかかわらず、右債務引受契約の内容と履行期限によるべきである。そして本件の債務引受は商行為とは認められないので、その債権の消滅時効は民法第一六七条による一〇年といわなければならない。
ところで右認定による被告の引受債務の履行期限は引受契約日より一年であるから、消滅時効は一年を経過した昭和二八年一二月二五日から進行しているものというべく、原告は右起算日から一〇年以内である昭和三八年七月一九日本件提訴に及んでいるので、時効は中断され、消滅時効は完成せず、この点に関する被告の抗弁は採用できない。(舟本信光)